調査結果(現況分析版)

平成27・28年度の調査結果をもとに、鉄道・バス・自動車はどんな人が利用しているのか、どんな目的の活動がどこに多いのかなど、交通とまちづくりに関する現況について分析を進めてきました。今回、主要な分析結果をまとめましたので、ホームページ上で公表いたします。

 

地域別の移動手段・目的

 

北毛地域でより高い自動車利用割合

 

○どんな交通手段を利用して、移動しているのか?
  • 全域で自動車利用割合が高いが、地形・気候の特性で自転車が利用しにくい北毛地域の方がより高い割合となっています
  • 移動の目的は北毛地域において通勤・通学・私事の割合が低く農林業などの業務目的の移動の割合が高くなっています

 3地域別の代表交通手段構成比

3地域別の代表交通手段構成比

 

3地域別の目的構成比

3地域別の目的構成比

 

3地域の圏域

 

 

公共交通(鉄道・バス)の利用状況

 

鉄道は高校生、バスは高齢者の割合が高い

 

○鉄道は、どんな人が利用しているのか?
  • 鉄道は、有職者や学生(高校生)の通勤・通学利用割合が9割以上と圧倒的に多く、主婦・無職等(高齢者)の利用は少なくなっています
  • 県央地域では通勤と通学の利用割合は同規模程度ですが、東毛地域や北毛地域では学生(高校生)の通学利用だけで6割以上を占めています。

鉄道利用者の特性

鉄道利用者の特性

 

○鉄道はどんな地域で利用されているのか?
  • 鉄道は、前橋市や高崎市などの複数路線が接続する駅に近い区間ほど利用が多い傾向にあります

主要断面での鉄道利用トリップ数

※南部地域のみで集計

主要断面での鉄道利用トリップ数

 

○駅まではどのような交通手段でアクセスしているのか?
  • 複数の路線が接続する駅を対象に、駅までのアクセス手段を比較すると、徒歩や自転車が半数以上を占めており、駅から比較的に近い人が主に利用していることがうかがえます
  • その一方で、バスや自動車によるアクセスが比較的高い割合を占めている駅もみられるなど、アクセス手段の構成比は駅によって異なります
  • また、利便性の高い駅まで広範囲から自動車で直接アクセスしている実態も見受けられます。

主要駅での端末手段構成比

主要駅での端末手段構成比

 

高崎駅まで自動車でアクセスしている人の居住地

高崎駅まで自動車でアクセスしている人の居住地の広がり

 

 

 

○バスはどんな人が利用しているのか?
  • 着目的別にみると、通勤や通学のほかに、買い物や通院、その他の私事でも多く利用されています。
  • 特に東毛地域では65歳以上の高齢者の利用が半数を占めています
  • 一方、北毛地域では学生(高校生)の利用が6割程度と多く、65歳以上高齢者の利用は2割強にとどまっています。

バス利用者の特性

バス利用者の特性

 

○バスはどんな地域で利用されているのか?
  • 32本/日以上(1時間に1本以上)のバス路線を中心に比較的バス利用者が多い傾向にありますが、バス路線の多くは1時間に1本未満の低い運行頻度となっています。​

※南部地域のみで集計、バス運行本数はH22国土数値情報より

バス停別のトリップ数(乗降)と平均運行本数

 
 

 

自動車の利用状況

 

クルマが使えない高齢者の約半数が自動車送迎に依存

 

○自動車送迎に支えられている高齢者
  • 自分でクルマが使える高齢者の多くは、自分で自動車を運転して生活しています
  • 免許あるいは自動車を保有していないために、自分でクルマが使えない高齢者は、徒歩や自転車による移動が4割強であり、約半数の移動は自動車送迎に支えられています
  • 自分でクルマが使えない高齢者でも、鉄道・バスを利用している割合は3.5%程度となっています。

高齢者の代表交通手段構成比

高齢者の代表交通手段構成比

 

北部地域で特に顕著な高校生のマイカー送迎

 

○高校生の通学手段に占める自動車送迎の割合
  • 高校生の通学目的の代表交通手段をみると、1km以内は徒歩の割合が最も多く、1~9kmは二輪車の割合が最も多く、9km以上になると鉄道の割合が最も多くなっています
  • 距離帯に応じて代表交通手段は変化しますが、距離帯に関わらず一定数(5~20%程度)を占めているのが学校までの自動車送迎です
  • さらに、鉄道を利用している高校生の中でも、駅までのアクセス手段についてみてみると、自動車送迎の割合が南部地域では約3割、北部地域に至っては約7割を占めています

高校生通学の距離帯別交通手段構成比

 

高校生の通学手段構成比(南部) 高校生の通学手段構成比(北部)

高校生の通学手段構成比

 

    

人が集まる活動の場所

 

買い物などで際立つ郊外部での活動

 

○どこに人が多く集まっているのか?
  • 全ての移動目的を対象として、人が多く集まる地域をみてみると、駅や市役所、商業施設などの周辺に活動が多く集中しています。郊外の大規模小売店舗に集中している活動が多く、郊外化が進んでいることが分かります。
  • 特に、衣類・電気製品などの不定期な買い物でよく訪れる場所について調べた結果では、特定の大型商業施設周辺に活動が集中しており、その他の地域では、ほとんど活動が見受けられない状態となっています

4次メッシュ別の集中トリップ数(全目的)

4次メッシュ(500m×500m)別の集中トリップ数(全目的)

 

4次メッシュ(500m×500m)別の集中トリップ数(衣類や電化製品などの不定期な買い物先)

4次メッシュ(500m×500m)別の集中トリップ数(衣類や電化製品などの不定期な買い物先)

 
○どこから人が集まっているのか?
  • 人が集まる地域について、比較的広域的な活動が想定される不定期な買い物や通院といった活動の広がりを確認してみると、特定の大型商業施設周辺において、駅周辺より広い範囲から人が集まっている状態となっています
  • 一方で、駅周辺においては、通院活動でも保健医療圏を跨いだ広い範囲から人が集まっているなどしており、周辺地域との連携をそれぞれの拠点の特性に応じた形で検討していく必要があります。

 

通院で主要な駅周辺を訪れる人の居住地の広がり

通院で主要な駅周辺を訪れる人の居住地の広がり

 

買い物で主要な駅周辺を訪れる人の居住地の広がり

買い物で主要な駅周辺を訪れる人の居住地の広がり

 

4つの大型商業施設周辺を訪れる人の居住地の広がり

4つの大型商業施設周辺を訪れる人の居住地の広がり

 

 

居住地選択の意向

 

公共交通を利用する習慣の有無により居住地選択意向に違い

 

○今後、どのような地域に居住する意向があるのか?
  • 今後の居住意向について、転居先に求める要因としては、若年層・高齢層ともに最も重視するのは、”自然災害や火災などの危険性が少ない地域”であり、居住地選択において安全・安心を確保することが重要な要素であることがうかがえます
  • また、公共交通を利用している人は、今後の転居先に求める要因として、防災性の次に“鉄道・バスが利用しやすい地域”や“徒歩・自転車で日常生活が住む地域”への意向が高くなっています。
  • 北部地域の高校生を対象に調査した結果では、将来群馬県外に住みたいと考えている高校生は、鉄道・バスの利便性を重視する傾向があります。

 

若者と高齢者が今後の転居先に重視する項目  公共交通を利用している人と利用していない人が今後の転居先に重視する項目

若者と高齢者が今後の転居先に重視する項目      公共交通を利用している人と利用していない人が今後の転居先に重視する項目

 

高校生の今後の居住地意向と県外に住みたい主な理由

高校生の今後の居住地意向と県外に住みたい主な理由

 

社会情勢の変化

 

少子化により鉄道利用者数は大幅減少の見通し

 

○人口減少・少子高齢化により、どのような影響が生じるのか?
  • 人口減少により全ての目的で集中トリップ数が減少することが見込まれています。高齢化が進むため、通院目的の減少率は小さいですが、反対に、少子化が進むことにより通学目的の減少率が最も大きくなることが予想されます
  • この影響により、鉄道利用者数は人口減少率よりも早いスピードで減少する見通しとなっており、特に、鉄道ネットワークの末端区間(上信電鉄など)では減少率が大きくなっています
  • 一方、通学や通勤以外の利用割合が高い区間(わたらせ渓谷鐡道など)や、東京方面へ行く路線(JR高崎線、東武伊勢崎線など)では、減少率は比較的低い傾向にあります
  • スーパー撤退の可能性を検証してみると、人口が少ない山間部に限らず、まちなかや郊外部でも必要な商圏トリップを維持できなくなる施設が発生する可能性があり、買い物難民がいつどこに発生してもおかしくない状態になることが想定されます。

現在と将来の目的別のトリップ数の推移

※南部地域のみで集計

現在と将来の目的別のトリップ数の推移

 

 

主要断面での鉄道利用トリップ数の推移

※将来の鉄道断面トリップ数は、今後の人口変化による影響のみを加味して推計している。そのため、免許の保有状況などの変化は加味されていないことに留意が必要。

※南部地域のみで集計

 
主要断面での鉄道利用トリップ数の推移

 

 

スーパーの商圏変化

※近年撤退または撤退予定の商業施設を対象に商圏人口・商圏トリップ数の基準を試算、将来(H47)時点で基準の商圏人口・商圏トリップ以下になると想定される地域を抽出

※南部地域のみで集計、グレー網掛け部分は都市計画基礎調査データ未取得のため試算していない市町村

スーパーの商圏変化

 

 

観光地への来訪状況

 

富岡製糸場来訪者の約4割が宿泊観光

 

○観光地を訪れる人は、どのような周遊行動をとっているのか?
  • 群馬県は平成26年の富岡製糸場と絹産業遺産群の世界遺産登録にはじまり、観光関連で大きな追い風が吹いている状況にあります。そこで、ビッグデータ(※1 携帯電話の位置情報)を解析した結果では、富岡製糸場の宿泊観光の割合は約4割と推計されており、温泉地との組み合わせ周遊の中では、伊香保温泉、草津温泉、磯部温泉などと一緒に訪れているものと見込まれています
  • これら温泉地と組み合わせた宿泊観光を促すため、交通ネットワークを整えるなど、交流人口を拡大することにより人口減少の影響をカバーしていくことが求められています。

※1「混雑統計®」データは、NTTドコモが提供する「ドコモ地図ナビ」サービスの オートGPS機能利用者より、許諾を得た上で送信される携帯電話の位置情報を、NTTドコモが総体的かつ統計的に加工を行ったデータ。位置情報は最短5分毎に測位されるGPSデータ(緯度経度情報)であり、性別・年齢等の個人を特定する情報は含まれない。

 

※出典:「混雑統計®」©ZENRIN DataComCO.,LTD.

※2 群馬県または足利市への立ち寄りが確認できたデータを集計したもの

主要な観光地への交通手段別の立ち寄り人数                 主要な観光地別の日帰り/宿泊の割合

 

 

富岡製糸場の観光客の主な周遊パターン

※出典:「混雑統計®」©ZENRIN DataComCO.,LTD.

富岡製糸場の観光客の主な周遊パターン
 

 

現況分析による主な問題点

 

 これらの分析結果から、主に次のような問題が考えられます。

  • このままでは需要減に伴う鉄道サービス水準の低下は避けられず、通勤や通学等の機会や選択の幅が失われてしまいます。(通勤通学活動)
  • 既に郊外化が相当程度進展している現状ですが、さらに市街地における活動の場が低密化し、郊外の特定の施設しか行き先の選択肢がないような都市構造になった場合、高齢者が希望する外出が出来ずに健康を維持できなくなる恐れがあります。(私事活動)
  • 高校生の自動車送迎が一定程度あり、送迎活動が子育ての負担や経済活動の制約となっている可能性があります。(送迎活動)

 

これらの問題を含めた多様な活動を今後も支えていくためには、それぞれに必要な移動手段を確保するとともに、まちのまとまりの価値を高め、交流を促すことにより、ぐんまらしい持続可能なまちを実現していくことが求められます。

平成28年度の現況分析を踏まえ、平成29年度は群馬県の望ましい総合的な都市交通体系のあり方について計画を策定する予定です。